最近話題に上がる中国共産党を、概要、組織、歴史、現在の順に分かりやすくまとめてみました!
初めに
2019年末、中国で武漢市ロックダウンの急報が入り、それから程なくして日本にも入ってきた新型コロナウイルス。
発生国の中国は政府の強力な指導力によってコロナウイルスを抑え込んだ、と主張しています。
その強力な指導力の源泉はなんと言っても中国共産党一党独裁体制!
更に今年は共産党創立100周年、という事で中国本土では熱烈なお祭りムードとなっています。
そこで今回は、最近よく話題となる中国共産党をわかりやすくまとめてみました!
概要
みなさんは、中国共産党という政党を知っていますか?
お隣の国、中華人民共和国の政治を支配する、中国の一党独裁政党です。
名前は中国共産党、略称は中共(悪い意味にも使われるので注意が必要です。)、英語名の頭文字をとってCCP。国内での略称は、「党」の1文字です。一党独裁なので、中国共産、と付けなくても分かってしまうのですね。
中国共産党のトップは中国共産党中央委員会総書記で、現在は習近平(しゅうきんぺい)さんが就任しています。また、機関誌と呼ばれる党の新聞は「人民日報」です。
党のメンバーである党員は、インド人民党に次いで世界第2位、9200万人以上が所属。家族まで含めると、なんと2億7000万人にも達すると言われています!
更にスパイ機関や軍隊まで持っているので、中国共産党は、世界でも類を見ない、超巨大な政党なのです。
一党独裁
先程述べた一党独裁とは、この政党しか政治をする事を認めませんよ!ということ。
その特定の政党がやる政治を批判する野党も無ければ、多くの一党独裁国家では、市民がそれを批判する事も出来ないことが多いのです。
中国共産党は中国の一党独裁政党ですから、中国では、共産党以外の政党は政治を行うことが出来ません。
2008年の民主党政権のように、政権交代が起こる日本や、共和党と民主党の二大政党制で国を運営するアメリカ等とは、根本的に政治のシステムが違う、ということになりますね。
共産党とは?
中国共産党は共産党、と付いている事から、中国は社会主義・共産主義をめざしている政党、という事になります。
社会主義とは、お金持ちと貧しい人の格差を無くすために、会社や工場を国のものにして、皆同じだけのお金を貰って平等に暮らそうぜ!という考え方のこと。
共産主義とは「共同財産主義」の略で、社会主義を更に進めて、お金という存在そのものや、ひいては政府なんてものも平等じゃないから無くしてしまえ!という考え方の事です。
共産党とつく政党は、それぞれの国で少々異なるものの、最終的にはこういう感じの社会を目指そうとしている政党、という事になります。
その中でも一番の主流派はマルクスというドイツの経済学者が考えた「マルクス主義」で、「科学的社会主義」とも呼ばれます。
貧しい働く人達を中心に、世界中で革命を起こして、世の中を社会主義にするんだ!という考え方が特徴的です。
中国共産党はそのマルクスの考え方をソ連(=昔のロシア)が更にパワーアップさせた、「マルクス・レーニン主義」という考え方の政党となっています。
組織
ここからは私がなるべく分かりやすく中国共産党の組織について解説していきます。
総書記
まずは、 中国共産党の最高指導者から。
中国共産党の一番偉い人は、中央委員会総書記と言います。
中央委員会とは、中国全土にある地方の委員会から党大会という1番大きな会議で選抜された人達で構成する、要は中国共産党の最高司令部のひとつで、そこの指導者が総書記、という事になっています。
今の総書記は習近平(しゅうきんぺい)さんです。
・ポイント「総書記と国家主席」
よくニュースで習近平総書記、あるいは習近平国家主席と言いますが、厳密に言うとこの2つの名前には違いがあります。
総書記とは「共産党の」トップの名前であり、自民党総裁、のようなもの。
国家主席は「国の」トップの名前であり、大統領と同じ意味の肩書きです。
要は、習近平さんは共産党のトップの総書記であるのと同時に、中国という国のトップである国家主席でもあるので、共産党のニュースの時には総書記、国のニュースの時には国家主席、と使い分けられているという訳ですね!
党大会(全国代表大会)
中国共産党の1番大きい会議で、5年に1度開催されている、党の最高機関とされています。共産党の国会のようなものですね。参加人数はなんと2000人!
正式名称を中国共産党全国代表大会といい、略称は中共党大会といいます。
この会議では、共産党の主だった人達が勢揃いします。 全国から一斉に集まる訳です。
この会議で最高司令部である中央委員会を構成する400人を選出し、そこから25人の中央政治局、更に7人の中央政治局常務委員会へと絞られて、最後の一人が中国共産党中央委員会総書記として全国9200万人の頂点に立つのです。
人民解放軍
よく「中国軍」と呼ばれる中国人民解放軍(ちゅうごくじんみんかいほうぐん)は、厳密には中華人民共和「国」の軍隊ではなく、中国共産「党」の軍隊です。
日本なら自民党が自民党軍を持ってるようなもの…と言えば良いでしょうか。
この軍隊は陸軍・海軍・空軍・ロケット軍・戦略支援部隊の5軍によって構成され、総兵力229万人と、驚異的な人数を抱えており、軍隊として世界最大規模の兵力を誇っています。
統一戦線工作部
中共中央統一戦線工作部(ちゅうきょう ちゅうおう とういつせんせん こうさくぶ)というのが正式名称の、世界各国を舞台に活動する、共産党中央委員会直属のスパイ組織です。
スパイ組織だけあって詳しい事はあまり分かって居ませんが、少なくとも現在も活発に活動しているとされています。
政党が自前のスパイ組織を持ってるなんて…!!!
歴史
さて、次はなるべく分かりやすく中国共産党の歴史について解説していきます
《建国まで》
中国共産党の成立は今からちょうど100年前の1921年。当時の社会運動家だった陳独秀(ちんどくしゅう)によって、上海で創設されました。
後の建国の父、毛沢東はこの時の創設メンバーの1人です。
当時、中国は資本主義の国としてアメリカ式の国作りを目指す、中国国民党の支配していた中華民国の統治下。
後に独立勢力となった共産党は、ソ連のような社会主義を目指していたので、相容れないこの二つの政党は、日本が中国と戦争をした一時期を除いて基本的には対立し、戦争を行っていました。
《毛沢東時代》
国民党との戦いの途中に最高指導者になった毛沢東(もうたくとう)は、遂に国民党を台湾に追い出して中国本土を統一、中華人民共和国を建国します。
が、その政策は失敗続きでした。
まず、15年でイギリスに追いつくことを目標とした大躍進政策を行いますが、3000万人の餓死者を出した為に一時失脚。
しかしここで諦めきれない毛沢東は、自身の復権を狙うため、学生を扇動して文化大革命を引き起こします。
自身に代わって政治を行っていた政治家達を中心に、古い社会体制を批判し、それによって多くの寺院や仏像も破壊され、1000万人以上の死者を出しました。しかしそんな被害を出しながらも復権を果たした毛沢東は、それからしばらく後に亡くなります。
《鄧小平時代》
後を引き継いだのは鄧小平(とうしょうへい)でした。彼は総書記には就任せずに、裏の最高指導者として権力を振るいました。
そんな鄧小平は、中国での社会主義的なやり方に限界を感じ、自由にビジネスしていい代わりに、共産党の独裁は守るよ!という「社会主義市場経済」という考え方を実行し、今の中国の経済発展のきっかけを作ります。
この考えの根底には
「白い猫でも黒い猫でもネズミを捕る猫がいい猫だ」
という彼の言葉通りの、結果主義的な考えが存在します。
国家を発展させるなら、市場経済でも構わない、という考え方です。
更に言論の自由もある程度認め「改革開放」という一連の政策で、今の中国の土台を作りました。
この一連の政策を定義化した理論を「鄧小平理論」といい、文字通り彼の理論で、中国は急激な発展を遂げて行くことになります。
しかし、そんな鄧小平政権にも闇の部分が存在します。それが、「天安門事件」です。
1989年6月4日、北京の天安門広場に民主化を求める学生達が集まり、デモを行っていたのを、軍の戦車隊で鎮圧したのです。これは国際社会から非難を受ける形となりましたが、今でも中国ではこの事件の事は公には無かったことになっていて、ネットでも検索できないようになっており、国内で情報を手に入れるのは、不可能になりつつあります。
《江沢民時代》
鄧小平の後継者の江沢民(こうたくみん)総書記は、愛国教育を実施して、反日的な歴史観を中国に広めたこと、そして一般企業も含めて党の機関に組み込む「3つの代表」理論を提唱しました。
「中国共産党は先進的生産力、先進的文化、広範な国民の根本的な利益を代表しなければならない」
といった発言が知られています。これによって、中国共産党は「労働者階級の」政党から、「国民全体を包括する」政党へと様変わりしたと言っても良いでしょう。
このような特定の階層の為の政党を階級政党、国民を包括する政党を国民政党と呼び、まさに江沢民は中国共産党を国民政党へと発展させたのです。
更にこの「3つの代表」理論によって、中国企業は大抵が中国共産党の支配下となったのです。
《胡錦濤時代》
江沢民の後継者となった胡錦濤(こきんとう)総書記は、中国を「民主文明を持った政治大国」とするべく、政治改革を断行しました。
そして、自由なビジネスの結果拡がった格差を是正する為に「和諧社会」のスローガンを掲げ、格差解消政策を実施したのです。
胡錦濤時代、中国は2008年には北京五輪、及び2010年の上海万博を無事成功させ、世界第二位の経済力を背景に財政危機に苦しむEU諸国の支援にも乗り出すなど、国際協調を重視する動きも見せました。
対日政策もある程度融和的で、小泉政権とのあいだで途絶えていた首脳外交を復活させるなど、他の政権と比べると、比較的穏健な政権となったと言えます。
《習近平時代》
胡錦濤から政権を引き継いだ習近平(しゅうきんぺい)総書記は、反腐敗キャンペーンを推し進めながら、数々の部署のトップに就任。未だかつて無い「集権化」を実施して独裁権力を強めました。
歴代の最高権力者のうちでも軍・公安・情報機関に対してもっとも影響力を持つ存在となった習近平総書記は、拡張主義的な軍事・外交政策を展開、超大国として米中新冷戦を引き起こすなど、今後の動向に目が離せません。
現在
米中新冷戦
アメリカと中国はその価値観、国家体制の違いから、米ソ冷戦後最大級の大国間競争を行っています。
特に国民への情報の統制や人権弾圧、領土問題が焦点となっており、長期化するのではとも言われています。
香港問題
つい最近の蘋果(リンゴ)日報廃刊のニュースも記憶に新しい通り、中国共産党は香港に対しての自由と民主主義に対しての圧力を強めています。
香港民主派の「香港衆志(デモシスト)」の黄之鋒(こうしほう/ジョシュア・ウォン)さん、周庭(しゅうてい/アグネス・チョウ)さんなどが国家安全法違反で逮捕・収監されるなど、その圧力は日増しに強まっています。
新疆ウイグル自治区、チベット自治区問題
現在、新疆(しんきょう)ウイグル自治区やチベット自治区で大規模な人権弾圧が起きていると言われています。
大規模な強制収容所に、中国人との強制的な結婚による種族根絶など、色んな説が言われています。
どこまで本当かは不明ですが、少なくとも、現在、ウイグル人とチベット人に対する大規模な人権弾圧が起きている事は確かなようです。
尖閣問題
日本と領土問題となっている尖閣諸島には、重装備の海警局の公船を差し向けて、日本の海上保安庁と、日夜せめぎ合いが起こっています。
彼らの狙いは定かではありませんが、その下に眠る膨大な地下資源ではないかと噂されています。
終わりに
中国は2045年までに米国と肩を並べる強国になる!と宣言。
米中新冷戦は激化の様相を呈しています。
約100年前に上海で結成された小さな秘密結社は、今や世界帝国への野心さえ見せるようになりました。
今後、この超巨大な独裁政党が、何を目指し、どのように行動していくのか、決して目が離せません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事を書いたライター
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