ここでは「思いやり」をスローガンに掲げる都内公立中学で筆者が受けたいじめの経験を元に、変化する「新しいいじめ」や対処法について記します。
まず、この記事を読むにあたって
これは「普通のこと」なんだ
ということを意識してください。
かなり異常なことが書かれているように感じられるかもしれませんが、これは全く特例などではありません。どこでも起きていることです。
いじめが身近に起こりうることを知り、その上でどうすれば対処できるのかを知っていただければ幸いです。
なお、この記事は「開成入学して古いいじめと新しいいじめから解放された話~後編~」と繋がっています。そちらでは中学受験における私立・公立や地域による差といじめの関係を書いています。併せてご覧ください。
公立中で受けた2種類のいじめ
私が公立中学で受けた、あるいは見てきたいじめは、大きく二分できます。
直接的な暴力や暴言などの古いいじめと、SNSなどを通して行われる新しいいじめです。
古いいじめ
まず、ほうきで殴られたり、筆記用具を投げつけられたり、ステレオタイプな暴力によるいじめを受けました。
必要なこと、当然のことや些細なことに対しキレる、同じ生徒が複数回暴力沙汰を起こすなど、やると決めた相手にはとにかく突っかかるという嫌な気概が見えます。
実際のところこれは「いじめ」などという曖昧なものではなく「暴行罪」という犯罪にあたるわけですが、これに対する教員の指導も中々頼りになりません。
全国の公立小学校・中学校にありがちなことかと思いますが、教員らは、助けを求めてもこうした問題をとりあえず両成敗にします。何とかして理由をつけて両方悪かったことにするのです。
そのため基本的に相手が怪我をしようが口頭で多少注意するだけです。
どころか、一部の部活では体罰が常態化しており、その旨が校長に伝わっても教員は変わらず勤務し続けるなど、自浄作用ははたらいていません。
また、全く口を利かない生徒やすれ違う度に舌打ちをしてくる生徒もいました。
とにかくいきなり蹴られるだの容姿を罵られるだのといった事は日常茶飯事で、典型的な「暴力」「暴言」「無視」のいじめは大体受けましたが、教員は動きませんでした。
新しいいじめ
一方、SNS上でも恐ろしい事が起こりました。なんとLINE上で私を貶すだけのグループができているのです。
この記事を書くにあたって同時期の写真を漁っていると、学年のグループから幾度となく退会させられ、タイムラインで暴言を吐かれている様子が出現しました。あまり思い出したくなかったことですが。
また、中学校とは離れますが、卒業後に塾の春期講習で出会った生徒にも「新しいいじめ」を感じます。ほとんど見ず知らずの人間からTwitterで突然暴言を吐かれた時はどうしていいか分かりませんでした。
Twitter上での誹謗中傷は残念ながらよくあることですが、顔を知っている、しかも今後会う可能性がある人間からの暴言にはさすがに困惑しました。
直接的ないじめに対して、時代とともに普及したSNS上でのいじめは、顔が見えないという性質も相まって非常に心理的負荷が大きくなります。
気楽に相手をからかったつもりでも、相手には大きな恐怖になります。Twitterで暴言を吐いてきた彼も、にわかには信じられませんが、冗談のつもりだったようです。
いじめをするような人間はSNS上でも現実でも相手の気持ちなど気にしないのでしょう。やっていることは変わりません。
こうした経験は、SNSに対する恐怖、延いては他人とのコミュニケーションに対する恐怖を負ってしまうことに繋がります。
何故いじめが起きるのか
いじめを行なっている本人達に聞くと大抵「ウザい」くらいのものしか出てきませんが、裏には嫉妬やストレス発散など様々あります。
私の場合は目を付けられた理由が大きく二つありそうです。
まず、今考えると自分でも不思議になるくらいに
①クソ真面目で成績優秀な生徒会役員を演じていたこと
そして、いわゆるオタク趣味など、
②周りと嗜好がかなりズレていたこと
です。
①自分より優秀な人間への耐性が出来ていない人々は、羨望や嫉妬から、とにかくそうした人間を排斥しようという思考になってしまいがちです。
②あるいは、「異教徒狩り」が如く、自分たちとは異なるものを排除しようという考えも出てきます。自分と同じような人間が多い=自分たちが多数派であるという事実があると、自分が正義だと思って安心できるものです。
の排斥の中で、趣味を否定され、人格を否定され、人生を否定されるようになります。
まして中学校や小学校など未熟な思考の人間の集団ですから、そうした思考が生まれ、そしてまとまって、集団心理で大きくなることは想像に難くないかと思います。
そして、私の場合もそうでしたが、一旦敵対視が始まると、外見を馬鹿にするなどの無根拠の攻撃も行われます。小中学校というのは、自分より劣った人間を見下す心理もまた育まれやすい環境です。
子供は自分が承認欲求が強いので、他者に勝る部分があれば誇ります。それが自分より優れた人間への憎しみにもなり、劣った人間への軽蔑にもなります。
いじめの対処法
最も効果的ないじめ予防
もちろんそもそもいじめに合わないことが望ましいです。
学校が危険な集団心理の巣であることを理解して、まず自分が嫉妬や軽蔑を抱かないようにすることが大切です。
そして何よりも、頭が良い子も悪い子も、
あくまで自分はみんなと同じであるとアピールすることが最重要です。
レベルを合わせなければ痛い目を見る、繰り返しますが、これは私がいじめを受けて最も痛感したことです。
それはつまり、テストの点数が低いもの同士で下らない勝負をしたり、よく分からない意識高い話をしていたり、という環境に入っていくことです。
当然精神的な負荷はとても大きいですが、出る杭は徹底的に打たれますから、とにかく注目されないのが最も効果的な予防です。
しかし、これはお子さんに非常に精神的な負荷を強いることになります。
他人に合わせるということは、その分自分を押し込めなければならないということであり、特に承認欲求が強い子どもにとっては厳しいことです。
能力にしろ慣習にしろ、周りと著しく差があると、自分が本来いるべきでない場所にいると感じやすくなります。
では、いじめのある環境ではストレスや不安を感じながら耐えるしかないのでしょうか。
いえ。そんな絶望を味わう必要はありません。そのための提案が中学受験です。これについては後編の記事で詳細に説明します。
もしいじめを受けたら
まず近くの大人に相談したいですが、私のようにそれで解決できないことも多くありますし、どころかエスカレートする可能性さえあります。そもそも相談で解決できる環境ではいじめは発生しにくいです。
もちろん近くの大人が頼れるのならそれに越したことはありませんが、そうでない場合もありますし、そこらの大人はいじめへの正しい対応など殆ど知りません。
そこで、地域や国が運営しているいじめ相談窓口です。
「いじめにあたるのか分からない」だとか「大事にしたくない」だとか考えて電話を躊躇わないで下さい。脅すようですがそれで死を選んだら誰も救われません。
各自治体の窓口は検索すればすぐに見つかるでしょう。
また、チャイルドライン(http://www.childline.or.jp/)
文科省の24時間子供SOSダイヤル(http://www.mext.go.jp/ijime/detail/dial.htm)
法務省の子どもの人権110番(http://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken112.html)
などもあります。知っておいて損はありません。お子さんと「躊躇せずに使うこと」まで共有しておいてください。
さて、大人やこうした窓口の人と状況や気持ちを共有すれば心はすっきりするかもしれませんが、それでは根本的な解決にはなりません。いじめ相談窓口も中々一々介入して解決はしてくれません。場合によっては弁護士に繋がれることもありますが、警察や児童相談所に直接連絡することもできます。対応は場所や人に左右されますが、教育委員会などは中々芳しい話を聞かないので頼りにしすぎるのも良くありません。
いじめの問題化については、文書作成など具体的にどう動くべきかは法テラスなどと相談しながら根気強くやっていくしかありません。
子どもは強くありません。だからこそいじめをしますし、いじめの対象にもなります。いじめと、そしていじめが起きる環境にしっかりと向き合う術を身につけましょう。
【後編はこちら】
この記事を書いたライター
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