矢野耕平さんインタビュー前編~国語で何を学ぶのか~

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 今回は、中学受験塾スタジオキャンパスの代表であり、教育についての情報を様々なメディアから発信されている矢野耕平さんに、インタビューを行わせていただきました。

 この記事ではその前半部分、国語という教科について矢野さんがどのようなことを考え、おっしゃられていたのかを、お伝えしていこうと思います。
 国語力とは何か、どうやったら付くのかといったことから、矢野さんが今年6月に設立した国語専門塾、博耕房のことまで、そこそこ広くて非常に深い内容となっております。ぜひごゆっくりお読みください。

はじめに

 今回伺ったのは、矢野さんが代表を務める塾、スタジオキャンパスの自由が丘校です。取材班は編集長(りん)と僕(K太朗)の二人。二時間ほどの間、国語という教科や中学受験の意義、そして教育はどうあるべきかなどのテーマについて、興味深いお話を聞かせていただきました。

矢野耕平さんプロフィール

1973年東京都生まれ。中学受験専門塾スタジオキャンパス(自由が丘・三田)代表。国語専科博耕房(自由が丘)代表。
著書に『中学受験で子どもを伸ばす親ダメにする親』(ダイヤモンド社)、『男子御三家 麻布・開成・武蔵の真実』『女子御三家 桜蔭・女子学院・雙葉の秘密』(ともに文春新書)、『LINEで子どもがバカになる』(講談社+α新書)、『早慶MARCHに入れる中学・高校』(朝日新書)など9冊がある。

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インタビュー

LINEの登場でコミュニケーションの質が下がった?

りん:矢野さんは『LINEでこどもがバカになる』という本を書かれていますが、実際この数年から数十年ほどで、国語力やコミュニケーションの質が下がったと思われますか?

矢野:何をもって国語力とするのかは難しいところですから、一概にこうと決めつけることはできないですよね。

 ただ一つ言えるのは、相手のことを考えない話し方をする人が増えている気がします。相手がわかってくれることを前提にして、いろいろ省略しちゃったりね。たとえば、「先生あれどうしましたか」って言われて、あれってなんだよ、みたいな。

 Twitterとかはある程度まとまった文章が必要になるけれど、LINEは短文やスタンプが中心になるじゃないですか。そういう意味で、情理を尽くして語るという経験を、LINEは奪っているんじゃないかと。
一見誰もが世界に向かって発信できる時代ではあるんだけれども、だからといって文章力が上がっている訳ではない気がします。

 そもそも入試問題の国語では、まったく知らない採点者に伝わるように回答しなきゃいけないわけじゃないですか。つまり、答案は採点者への手紙なんです。受験勉強を通じて、子供たちの対人コミュニケーション能力が向上したら、それは素晴らしいことです。

国語力を決めるものとは

りん:国語は算数と比べるとあまり点数に差が出ないイメージもありますが・・・。

矢野:例えば昔の開成の国語入試問題は「誰が解いても高得点になる」と思われます。それが2001年度から完全記述に変わって、その翌年に続いたのが桜陰でした。そのあと他にもいろんな中学校が続々と記述化していったんですね。

りん:なるほど。昔よりも受験での国語は大事になってきているんですね。
それでは受験勉強を始めるまでに、どのようなところで国語力が決まるのでしょうか?

矢野:国語の得意不得意っていろんな要因があるんですが、その人が育ってきた環境は大きいですよね。

 昔、僕が教えていた生徒で、モンスター級の語彙力を有する女の子がいました。よく覚えているのが、集団で駅に向かっている途中、ある男の子が何かテキトーなことを言ったとき。それに対して、「お前、三味線弾いてんじゃねえよ」って(笑)。
 その子って実は、雀荘の娘だったんです。小さいころから雀荘に入り浸ってるから、大人たちの会話をずっと聞いてるわけですよ。それで自然に語彙力がついてきた。環境っていうのはそれくらい大きいんですよね。

 それこそ、おじいちゃんおばあちゃんと一緒に住んでるかとか、タワーマンションなのか田舎なのかとかもそうですね。だからといって「こういう環境にするべき」みたいな方程式があるわけでもないんですが。
 ただ、どんな環境にいる子にも平等に与えられるものがあるとすれば、それは読書だと僕は思うんです。

読書の効果

矢野:読書っていうのは、知らない世界の疑似体験じゃないですか。だから読書を多くしてる子は、ある意味『経験豊富』なんですよ。
そういう子はやっぱり国語ができると思いますね。

りん:たしかにそうですね。ちなみに自分は現代文が苦手なので学校の教員にアドバイスを求めたら、「難しめの論説文を読め」と言われました。そういった物語ではない文章を読むことの効果って何でしょう?

矢野:長文を読んでいくと、その人の思想に触れられますし、言葉も覚えられます。作家さんって、よく使う言葉がそれぞれにあるじゃないですか。
たとえば、「こういう人間が”跋扈”している」とか「こういうやり口が”跋扈”している」とかやたらと出てきて、最初は「バッコって何だろう」と思っていても、だんだん「あ、これって悪いものが影響を及ぼしていることか」って納得していく。言葉ってそもそもそういうふうにして覚えていくものなんです。

りん:たしかに僕も英語をやっていて、単語帳に出てきた言葉よりも、長文に出てきた言葉のほうが覚えやすいと思うことがよくあります。

<矢野さんおすすめの思想本>
菅野仁『友だち幻想
内田樹『先生はえらい

入試問題の変化

りん:近頃の入試での国語の傾向・特徴などはありますか?

矢野:ひとつはさっきも言ったように、記述が増えたこと。その中でも、「これについて自分が考えたことを書きなさい」とか「この物語の続きを自分なりに考えて書きなさい」とか、いわゆる自由記述が増えました。筑駒、灘、桜陰、雙葉とか、いわゆる難関校を目指す子はいまや避けられない問題形式です。
 個人的にはこれには反対です。なぜかというと、採点基準があいまいなうえに問題が難しくなりがちだから。小学生にそんなレベル求めていいのかな、と思ってしまう問題もあります。

 それからもうひとつは、大人向けの文章ばっかりになりました。語彙力と論理性がより問われるというか。

K太朗:いろいろな点で難しい問題が増えているんですね。

国語専門塾、博耕房の理念とは

りん:来てびっくりしたんですが、博耕房さんって、スタジオキャンパスと同じ建物だったんですね。※博耕房:矢野さんが今年(2020年)6月から始められた国語専門塾

矢野:あ、ここです。

りん:あ、まさにここ(インタビューを受けていただいている場所)なんですね・・・。びっくりしました。
 その博耕房についてなんですが、国語を専門に教えている場所って、すごく珍しいですよね。授業は何を目的にされているのでしょうか?

矢野:博耕房は中学受験部と大学受験部があります。ともに目指しているのは「二兎を追う」ということ。一つは志望校に合格できること。もう一つが、その後も役に立つ国語力をつけてもらうことです。

 そもそもなんで国語を学んでるのかっていうと、行き着くところは、人とのコミュニケーションの能力を向上させるためだと思ってるんですよ。たとえば自分の意見をストレートにバーっと言ってしまうよりも、効果的な具体例とか、巧みな比喩表現とかを使っていったほうが相手を説得できるでしょ。表現力、論理力、個人の考えというのは実はすべて繋がっていて、そのすべてがコミュニケーションのための材料なんです。

博耕房の独特な授業

りん:その目的のために、具体的にはどのような授業を行っているのでしょうか?

矢野:博耕房の中学受験部では、教材としてみんなに文庫本を買ってもらいます。そして交代でその本を音読させながら、どんどんと問題を出していく。
 それからテキストの問題を解かせるんですが、(テキスト見せながら)こんな感じで、全部記述問題なんです。一発で完璧に書ける子なんていないから、やり直し用の記述欄もあらかじめ用意しておいて、みんなでワイワイ言いながら直していきます。

りん文章全体を使って授業するというのは面白いですね。というのも、時間の都合もあってたいていの試験では、文章の一部分だけ切り取ってしまうので。

矢野:そうですね。ただ、麻布とかは特にそうですけど、受験問題の文章は切り取り方がうまく考えられているので、そこまで問題ではない気がします。

 あと、難しい言葉を文章から引っ張ってきて、その意味を調べさせるというのもやっています。この『ロバのサイン会』では、「粗相」「張り合い」「いまいましい」とかですね。
 そして意味を調べたら、三つの言葉をすべて使って80~120字の例文を作らせて、毎週宿題として出してもらうんです。そうすると、最初も言ったように相手のことを考えてない記述を書く子が多い。具体性がないから、他の人が見たときにイメージできないんですよ。そういうのをどんどん添削していく。

 これ、ずっとやるとすごい効果があって、書く力がとても伸びたんですよね。

 (↑矢野さんが実際に授業で使っている短編集)

 さっき音読を交代交代でやらせると言いましたが、読ませると面白いのが、力が入るところとそうでないところがあるんですよ。それを聞くと、その子がどこに重点を置いて読んでいるかがわかるんです。間違った読み方をしていることも多いんですけどね。
 それから僕が読んで見せることもあるんですが、そのときは場面の雰囲気がわかるように抑揚をつけるようにしています。切迫した場面では早く、風景描写ではゆっくりとかですね。

 音読はやっぱり、国語の入り口としてやるべきでしょうね。

K太朗:僕が行っていた塾でも音読をしていたんですが、そんな効果があったんですね。

りん:私の塾ではやっていませんでした。

矢野:中学受験の講師って、どうしても期限付きじゃないですか。でもその期限の中で、「書くって面白いな」とか、「文章読むのって面白いな」というのを、あわせて伝えられたら良いと思います。

古典は必要?

りん:最後に、中学受験ではあまり扱われませんが、国語の重要な一部分として、古文についてどう考えられているかお聞きしたいです。

矢野:学生時代はあまり好きではなかったんですが、今は興味があります。
 言葉っていうのは、緩やかに変化をしていくものじゃないですか。実際50年前と今でも、少し違っているでしょうし。だからこそ、今自分たちが話している言葉の源流を辿るという意味で、古文の単語を知るのは面白いんです。

 『13歳からの「気もちを伝える言葉」事典』という本を著したときにも、昔の言葉に言及しています。たとえば「やばい」のやばって、江戸時代には不都合だっていう意味があったとかね。
 それから、「やるせない」っていう言葉は聞いてもイメージがわきにくいですけれど、漢字で書くと「遣る瀬無い」で、つまり船をつける瀬がないってことなんですよ。つまり「どうしよう、困ったな~」みたいな意味で、語源を知るとそれがよくわかるんです。

 今使われている言葉をより深く知るためにも、古典・漢文なんかはやるべきだと思いますね。

(後編へ続く)


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