TwitterなどのSNS上でしばしば見られる「ブラック校則」や「超算数」。
先日、名門中高一貫校である開成の生徒たちが話題にしたのがある校則でした。
ここでは、現役開成生だからこそ分かる、開成から見た教育の実情をお伝えしていきます!
ブラック校則「生活ルール」
さて、そこで話題になった「生活ルール」と題された規則は、中学校における細かい服装や髪型、道具の持ち帰りなどについて定めたものでした。
中学受験を経験せず、公立中学から開成に入学した筆者は、これを見たとき
「この校則、普通では?」などと考えていました。
実際、筆者は中学時代をそのような校則の下で送ったので、そこで見た規則は至極当然のように思えたのです。
SNS上にも筆者と同様の考えを持った人はやはりいたようで、「普通だ」「問題ではない」とする意見は多く見られました。
開成生の見る「ブラック校則」
一方で、多くの開成生の声は違いました。中学受験で開成に入学した生徒の多くは、「ブラック校則」などとして、この規則が不適切であるとハッキリ断言しました。
中学時代から開成という勝手のきく環境で過ごしてきた彼らには、これは極めて厳しく、異様なものとして捉えられたのです。
開成中の環境、公立中の環境
開成中学の校風
御三家に数えられ、関東の中学トップとされる開成や麻布は、「自由な校風」が一つの特徴として知られています。
開成においては、「校則は『制服での登下校』のみ」などという冗談が知られているほどです。
実際、それが冗談とは言えないほど、開成の生徒には自由が与えられています。
頭髪や所持品の制限がないのはもちろんのこと、机の上に小説を置き、私服や下駄で授業を受ける生徒の姿も見られます。
公立中学の校風
一方で、公立中学を考えてみましょう。筆者は都内の(つまりある程度文化資本のある)区立中学に通っていましたが、下着や靴下や靴の色の指定、髪の長さや色の指定などが事細かになされていました。
中には、教員が規則の存在意義をきちんと説明できず、生徒指導で言葉に詰まる場面もありました。
公立中の問題の根底
公立中学ではこうした状況が一般的であり、生徒を「制限」「画一化」することによって統制を取ろうという意識がかなり露骨に見えます。
その背景には平均的な教員の指導力や管理能力の低さもあるのでしょう。「体罰」に対する意識が変わってきたことで、最も簡単な「力による統制」が取れなくなったことも原因と考えられます。(もっとも、これは「統制」ではなく「支配」ですが。)
あるいは、保護者の無責任化も一つの原因と考えられます。
「道徳」の授業が小中学校の学習指導要領に定められたように、本来家庭環境の中で育むべきところを学校に丸投げする保護者が現れています。(いわゆる「モンスターペアレント」しかり)
このような鬱屈とした環境の中で3年もの時間も浪費したこと。それこそが筆者が開成を目指した1つの理由です。
また、しばしばニュースなどで取り上げられる特に厳しい「ブラック校則」も見られます。
ある時は、校則の黒髪の指定について、元々黒髪でない生徒に髪を染めるよう指導した学校が話題になりました。
こうした問題は今や大きな社会問題として扱われており、2018年の東京大学の駒場祭においても、模擬裁判の題材「校則と自己決定」として取り上げられました。
何故公立中がダメなのか
上で述べたような環境について、「問題無い」という意見は果たして正当なのでしょうか?
現代社会は、「個性的」なことを評価する風潮があるように見せかけています。
だから「道徳」の授業で「個性」の話をするし、「社会」では「多様化」の話をするし、校長先生は朝礼で「自由」の話をします。
実際にはその「個性」や「自由」を潰して封じ込めているのは自分たちであるにも関わらず。
学校教育に必要な「個性」
現代で個性が求められるのは、単に自由主義的な風潮によるものだけではなく、それが将来的に生きるための必須条件となるからです。
人工知能の発達、機械技術の進歩、こうした要素が急速に拡大している現代において、「個性」に裏打ちされた「創造力」や「柔軟性」が必要になっているのです。
だからこそ、人間の成長過程の最重要部分である学生時代には自由でなくてはならないのです。
まとめ
ここで、この文章を読んでいる小学生・中学生の保護者の方々にお伝えしたいのは、
あなたのお子さんこそ「ブラック校則」の次の犠牲者だ。
ということです。
「ニュースなんかで見るけれど、うちは関係ないでしょ」などという考えは最早通用しません。
これだけ「個性」を大切にする教育が謳われ、人権意識が高まっているのにも関わらず、校則は厳格化の一途を辿っているというデータすらあります。
大切なお子さんに、このような環境に身を投げさせることはありません。
中学受験は、この地獄から周りより一足早く抜けるためのステップなのです。
この記事を書いたライター
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