はじめに
新型コロナウイルス(COVID-19)の影響で、世界中の人々が自宅規制を求められています。日本では、教育や仕事がオンライン上へ移行し始めていますが、海外では今、どうなっているのでしょうか。
カナダの東にあるオンタリオ州在住の現役留学生が、生活の一部と、カナダで行われているオンライン教育について紹介します。
休校の延長
カナダでは、コロナの感染者が3月の中旬から急激に上昇しています。
4月14日にて、19歳未満の感染者は750人以上。数値が上がり続ける中、約2週間ごとに教育省からのお知らせが発表されています。
一番初めの発表は3月12日に行われ、教育省からマーチブレイク(3月の初旬にある一週間のお休み)に引き続き、4月5日まで公立学校を休校するとの宣言が出されました。あまりにも突然のお知らせだった為、休校に供える準備にたくさんの学校が出遅れてしまいました。
3月31日には、5月4日までの休校の延長が決定され、4月14日には緊急事態宣言と同時に5月12日までの休校の延長が発表されました。
休校中の1日の生活
日本でも多くの学校がオンライン授業に乗り換え始めています。同じようにカナダでもe-Learningが4月7日から開催されました。
Khan Academy、Courseraなどのオンラインツールを使用しながら、自宅で勉強をしています。
日本と同様に、カナダでも緊急事態宣言を出されているため、不要不急の外出は控えなければなりません。集団感染を防ぐために、レストランや、公園などの公共スペースは閉鎖されました。その代わりに外で運動することは許されているので、よくホストファミリーや校長先生には散歩を勧められます。
人と全く会話できないように思われますが、自宅では同じ高校生3人とも住んでいるので、一緒にビデオゲームで遊んだり、料理を作ったり、勉強を教えあったりと充実した生活を送っています。
カナダのオンライン教育→e-Learningとは
e-Learningの基本情報
カナダではよくEmergency Remote Learning(緊急遠隔学習)というワードを聞きますが、学校に通わなくても学習が進められるシステムはあるのでしょうか?
これを実現するためのインターネットを使った学習のことをe-learningと言います。
e-learningでは、Google ClassroomやD2Lのようなプラットフォームを活用しています。一つのクラスにつき、先生と生徒の平均比率は1対28です。
オンタリオ州の教育省が勧める1週間の勉強時間は学年によって変わります。
- 幼稚園児〜6年生は5時間
- 7年生〜8年生は10時間
- 9年生〜12年生は科目ごとに3時間
もちろん、パソコンなどの電子機器を持っていない人や、インターネット接続のない環境で暮らしている生徒もいます。その場合、必要な電子機器の数を把握した上で、生徒かその家族が学校に取りに行きます。他にも、学校のインターネット接続の範囲を拡大し、生徒がWi-Fiに繋がれる状態にしたりなどをして、対応しています。
現役留学生のe-Learning体験
基本的に先生方はオンラインのため、質問するとメールや動画を通してすぐに返答がきます。
授業の提供方法は先生や科目によってバラバラです。クラス全体と一斉にライブ授業をする先生もいれば、事前に授業の動画を配信し、生徒の疑問を聞くためだけにグループ通話をする先生もいます。
例えば、情報科学ではYouTube上に講義の映像を投稿し、生徒は自分のペースで動画を見て、課題をこなします。それに対して、科学では先生1人に対し生徒4人の比率で、オンライン上で30分間の授業を行います。対話しながら授業を受けているので、ライブタイムで質問することができます。
さらに、カナダの学校では料理、木工建築、講師の係といった特殊な科目が受けられます。授業がオンライン化した今、技術力の向上がメインとなる科目を取っている生徒は、どのように授業を受けるのでしょうか。
すべての科目の情報は書けませんが、個人的にギターの授業を取っているので、一つの例として。
私は運の良いことにマーチブレイクの前に、学校からギターを借りていたのですが、当然それができなかった生徒もいます。借りれなかった生徒は、電子機器の提供と同じように、校長先生と日取りを決めて、学校にギターを取りに行かなければなりません。
ギターの授業では、休校中と言えども技術の向上を図られることには変わりないので、私は音楽の基礎学習の他に、自己責任で毎日好きな曲を20分間練習をしています。
テストが受けられないため、成績がどのように付くのかは学生としても気になるところです。現時点では、教育省からの正式な評価の仕方は発表されていません。なので、マーチブレイクの前に得た点数とe-Learningで提出した課題の点数を平均して最終的に評価をするというのではないか、というのが先生方の予想です。
卒業の対応
現時点で12、13年生の生徒は進学に問題がなければ、予定通りに卒業できます。
教育省の決断から、2020年度の高校卒業生は昨年度の高校卒業資格獲得の要件となったEducation Quality and Accountability Office (EQAO) によって作成された標準テストと40時間のボランティア活動がなくても卒業ができます。
残念ですが、教育委員会により卒業式やプロムといった儀式の計画は一時停止されています。オンラインでの教育が安全に全生徒に行き渡り次第、計画の再開を考えるようです。
最後に
コロナウイルスをきっかけに、様々の社会問題を解決する重要さが明らかになりました。教育の面では技術の行き渡り、技術を活用するのに必要なスキル、家庭内暴力や、心理的な補助。カナダではそんな問題を一刻も早く減らすために行動をし、学生が安心して勉強をできる環境を作っています。
このように、私は恵まれた環境のなかオンラインで学習を進められます。皆様も今だからできることを全力で取り組みましょう。
この記事を書いたライター
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