教育と地域格差
日本全国の大学進学率は約50%ですが、地方ごとの偏りは大きいです。
東京都で72%、京都府、神奈川県で約65%ですが、沖縄、鹿児島、岩手などは40%を切っています。このように教育機会の地域格差は大きいです。そして単純な比較はできませんが、親の平均所得が低い地域、つまり地方ほど大学進学率は低くなっています。
極論を言ってしまうと、お金があればどこかの大学へ行けますが、逆にお金がなければ、頭が良くても進学を断念せざるを得ません。
実際、下宿しながら大学に通うのは経済的な負担が大きいですし、首都圏ともなれば負担はさらに大きくなります。しかし地方にとどまっていても所得が低い状況は変わらず、教育格差は広がる一方です。
このように、経済的理由による教育格差は行政がすぐさま是正できるわけではなく、個人が具体的で有効な策を取る必要があります。
見えづらい教育格差
中学受験で生じる格差
首都圏では今や中学受験をするのは当たり前、とまでは言いませんが、多くの生徒が中学受験を経験しています。そのため多くの学習塾が存在し、人によっては小学校低学年から塾に通っていたりします。
そして中学受験のメリットとして主に挙げられるのは、「中高一貫校」です。
中高一貫校とは中学と高校がつながっている形の学校のことです。
中高一貫校の良い点としては、
①高校受験がないため、大学受験まで余裕があり部活に専念できる。
②英語をしっかりと6年かけて学ぶことができる。
③中学生のうちに高度な内容に触れることができる。
などがあります。
僕が思うに中学受験する最大のメリットは中学三年間を自由に使えることだと思います。小学校の三年間と中学の三年間のどちらが重要だったかはその人によりけりでしょうが、一般に小学生よりも中学生のときのほうが精神的に成長している場合が多く、同じ時間でもより多くの経験を中学の間に積むことは大切だと思います。
また事実として、科学オリンピックの日本代表の大半は東京、大阪などの首都圏または中高一貫校の生徒です。地方の高校から科学オリンピックに参加している生徒はとても少ないです。
これにはそもそも科学オリンピックを知らない情報格差などの影響もあると思いますが、地方に留まっていてはせっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。
英語教育における格差
現状小学校における英語教育は充実してるとは言い難いです。
文法なども中学校に入ってから本格的に勉強しはじめます。一方、高校受験に向けて他にも多くの教科を並行して勉強しなければいけません。
しかし、中高一貫校に通うことで、高校受験のための勉強をせずにすみ、はじめから大学受験に向けた勉強やそれ以上の勉強をすることができます。そして、理科、社会が本格化する前の中学3年間で英語をしっかりと勉強できることは大きなアドバンテージになりえます。逆に
中学時代に高校受験に向けて5教科の一つとしてしか英語を勉強していない人は高校英語に苦手意識を持ちやすく、また英語にかけた時間も中高一貫校の生徒と比べて多いとは言えないでしょう。
また首都圏であれば英語専門の塾や英会話教室などが多くありますが、地方では学校以外で英語を学ぶ機会は多くありません。そういった点でも地方と首都圏での教育格差は存在します。
まとめ
このように大学受験以前から地域や経済的理由による教育格差は広がっており、それを大学受験のみで埋めるというのは非常に困難です。また地方と首都圏での情報格差も大きくこれらのディスアドバンテージを知らずのうちに抱えているのが地方の中高生なのです。
つまり、大学から首都圏に出るのでは中高の間で生まれた差を無くすことは容易ではなく、もっと早い段階、つまり中学高校のうちに首都圏に出ることが将来の可能性を拡げるために必要だと言えます。
首都圏から見た大学受験と地方から見た大学受験
記事を読んでいる地方の中高生へ
首都圏では高校に通っている生徒の多くが大学進学します。就職する人はほとんどいません。逆に行かないことがディスアドバンテージとみなされます。
しかし大学で何を勉強するかではなく、「みんなが大学行くなら私も行くかぁ」程度の軽い気持ちで通ってる人も多くいます。結局大学に行くか行かないかはあまり重要ではないと思っています。大学ですべてのことを学べるわけではないですから。
それでも大学へ行くほうが将来の可能性も広がりますし、上で書いたことと矛盾するようですが、後に後悔するより、今は「とりあえず行く」という選択をしてみても良いかもしれません。経済的な面でも近年は給付型と呼ばれる返済の必要がない奨学金制度も充実しておりすぐ諦めるのではなく、様々な情報を集めることが重要だと思います。
記事を読んでいる首都圏の中高生へ
知らない高校生が多いのですが、日本の大学進学率は50%ほどです。東京でも72%です。
つまり二人に一人は大学へ行かないということです。また大学へ行かなくても社会人として働いてる人は多くいますし、決して大学へ行ったからといって行ってない人よりも優れているとは限りません。経済的な理由で大学へ通えない人もいる中、せっかく大学へ通うという選択をしたのなら、なぜ自分が大学へ行くのかという目的意識をしっかりと持つべきです。そのほうが勉強のモチベーションも湧きやすいと思います。
おわりに
地域による教育の格差は大きいです。これはそう簡単には変わらない事実です。しかし諦めては何も変わりませんし、首都圏に出てこないと何も変わりません。親の経済格差は子供の教育格差に直結しており、地方に留まっていてはこの負の連鎖は終わりません。
現状が変化することに期待するのではなく、自分で自分の未来を切り拓いてください。
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この記事を書いたライター
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