こんにちは。東京受験.jpライターの山崎です。
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2019年9月28,29日に東京の女子御三家の一つ桜蔭学園で「桜蔭文化祭」が開催されました。
日本を代表する女子進学校であることや数々の名物企画の存在から、毎年開催を心待ちにされている学園祭です。
私は29日に参加してきました。今年度の桜蔭文化祭の日程は既に終了してしまいましたが、来年度以降に参加をご検討される方のためにレポートとしてまとめたいと思います。
「そもそも桜蔭文化祭とは何か」という読者の方は下記の記事をまずはご覧ください。
本記事では私が当日回ったルート順に各展示の紹介をしていきます。
桜蔭は各展示がおおよそジャンルやカテゴリごとに場所をまとめられているという特徴があるので、それほど読みにくくはなっていないと思います。
時間の都合で回りきれなかったものも多少ございますがご承知ください。
桜蔭到着まで
JR水道橋駅から歩いて向かいました。忠弥坂(ちゅうやざか)というやや急な坂道を登り校門に近づくと50人ほどの行列ができていました。受験生とその保護者と思わえる方たちの割合がだいたい8割ほどを占めており、非常に関心を持たれていることが入場前から分かりました。
在校生から事前にいただいた招待券を入場券に引き換えて桜蔭文化祭がスタートしました。
まずは名物企画と言われている「サイエンスストリート」に向かいました。
東館2階 サイエンスストリート
物理部や数学部など理数系のクラブ活動を同じエリアに集めて展示しており、そのエリアを「サイエンスストリート」と呼ぶようです。
桜蔭の中でも屈指の名物企画「サイエンスストリート」は予想通り大変な賑わいでした。
理数系らしく実験を伴うクラブの生徒はみな白衣を着用しており、生徒の6~7割が理系選択をする桜蔭ならではの雰囲気が感じられました。
物理部
電子工作・ロボット・からくり・パソコンのエリアに教室内が分かれており、各生徒が担当の展示物の前で内容を説明したり、実演したり、実際に触ってもらったりしていました。
中でもからくりゾーンは「ピタゴラスイッチ」のような様々な仕掛けを凝らした機材が1つの展示物だけで教室の4分の1ほどのスペースを占めるほど大きく、実演を待ちわびるお客さんが張り付いていて大変な賑わいでした。
天文気象部
どうやら今年のテーマは「はやぶさ2」と決まっているそうで、模造紙の展示テーマも全体的にはやぶさ2の研究でした。模造紙発表以外にもはやぶさ2を模したミニチュア展示(といっても大人の男性が抱えるには少し厳しいサイズ)やプラネタリウム体験なども実施しており、熱量の大きさを感じました。サイエンスストリートの他のクラブが各部員の得意テーマを個々で紹介している一方で、天文気象部はクラブ全体で1つのテーマと決めているようでした。個人的には毎年のテーマがどうやって決めているのか、部活の中の議論を見てみたいと思いました。
プラネタリウム企画は当然のように整理券はなくなっていました、、、
栄光学園の文化祭に行ったときも「裏山ツアー」はすぐに定員が埋まってしまったので、「生徒が直接案内してくれるツアー」系のものは要チェックですね。
化学部
生徒が普段使っていると思われる理科実験用の教室を使った展示が行われていました。
初めて桜蔭文化祭に参加した私ですが、理科実験教室の雰囲気もどの学校もあまり変わらないなと思い、懐かしさを感じてしまいました。
実演は「教卓実験」(先生が立つ場所に生徒が立って行う実験)と「カラフル試験管」の2つがありました。カラフル試験は黒いパーテーションで区切られていたことと行列ができていたことから詳細な内容は分からなかったのですが、教卓実験では普段先生が立つ1段高い教卓に白衣を来た化学部員の生徒が立っており、立ち居振る舞いの落ち着きに迫力を感じました。
サイエンスストリートの他のクラブと違い実際に危険な薬品を取り扱うこともあり、若干の心配をしながら眺めていたのですが、実験場所と見学のお客さんの間に透明なついたてをしっかり用意し、化学部の生徒さんが危ない行動がないかどうか目配りしていました。
生物部
生物部は物理部や化学部同様に個別部員による展示と、名物企画(?)のカエル解剖のライブパフォーマンス(?)の2つに分かれて実施されていました。
普段の生物部は担当領域ごとに活動が分かれているようで、当日の展示もそれに沿って行われていました。詳細な分け方は失念してしまったのですが、水生動物系、植物系、人体系(視神経の構造や骨の断面図の顕微鏡観察)などがありました。
その中でも実際に飼っているウーパールーパーの展示が個人的に可愛くてしばらく眺めていました。ウーパールーパーを飼育している部員さんも言葉少なげでしたが愛情を持って接している様子が感じられました(一般人がペットに抱く愛着と生物部員のそれは多少異なるかもしれませんが)。
カエル解剖は展示教室とは別の場所で開催されており自由入場制でした。ただ、そこもやはり長蛇の列ができており前に入っているお客さんが出次第、次のお客さんが入れるという仕組みでした。行列整理をしている生物部員の方に話を聞いたところ、本当にカエルを解剖し、1つ1つの臓器や部位を丁寧に解体していくようで、気分を悪くされるお客様もたまにいるとのことでした。
確かに免疫のない人にとっては少しショッキングかもしれませんが、普段の部活動の様子を垣間見ることができるのも文化祭の大きな魅力です。
数学部
桜蔭文化祭の出し物の中でおそらく一番人口密度が高かったのが数学部でした。
他クラブと同様に「パラドックス」をテーマにした模造紙発表もありましたが、それ以上に数学部員が自作した問題を解けることが魅力のようで、教室に用意されたテーブルは熱意あふれる小学生の方々で満席状態でした。
脇目も振らず一心不乱に問題に取り組む子どもたちの迫力に圧倒されてしまいました。
問題はレベル別に3つほどに分かれており、無事に正解までたどり着けた参加者は匿名で黒板に記載されるシステムでした。
東館1階
中1浅間
桜蔭では中学1年と高校1年で浅間に夏期学校(修学旅行のようなもの?)が実施されるようで、文化祭ではその研究成果として「中1浅間」という展示ルームがありました。
東館に入ってつきあたりの良い場所にあり、担当の生徒も「中1浅間です。ぜひお立ち寄りください」と大きく声掛けをしてくださるのですぐに気づきます。
「浅間」をテーマにすれば基本的にどのような方向性の研究でも問題ないようで、浅間山のミニチュア模型や浅間山ゆかりの有名人(堀辰雄など)、軽井沢と皇室、中にはかの有名な「あさま山荘事件」など、各生徒の興味関心が良い意味でバラバラでした。
また、中1浅間以外にも桜蔭には魅力的な学習システムが様々あります。その一例を桜蔭生が書いてくれた記事がございますので、合わせてご覧くださると幸いです。
東館3階
美術部
美術部員が文化祭に合わせて仕上げてきた作品が並べられていました。8割くらいは絵画、残りは工作という印象でした。各作品には作者の短いコメントも添えられており、どのような思いをもって制作に取り組んできたのかがうかがえ、興味深く読ませてもらいました。
美術部で個人的に気になった作品は以下の3つです
①広島東洋カープの梵(そよぎ)選手にまつわる作品
→桜蔭の美術部にはどうやら広島東洋カープの梵の大ファンがいるようで、当日の作品も梵選手の後ろ姿のスケッチでした。美術室の廊下にも梵選手にまつわる作品が展示されており、明らかに異彩を放っていたため思わず吹き出してしまいました。
②大親友の人物絵
→大親友の人物絵が作品として並べられていました。絵の迫力ももちろんですが、作者コメントもご友人への愛に溢れたものになっており、文化祭に求めていたものとは異なりますが、思わず青春期の友情の温かみを感じてしまいました。
③目
→分厚いスケッチブックに人間の片目が鉛筆(?)で1枚1目で描かれた作品です。制作意図は少し測りかねたのですが、様々なたたずまいの絵がパラパラ漫画のように描かれており、多少の不気味さと妙な迫力で思わず惹き込まれてしまいました。
床に絵の具の跡が残っていたことからどうやら普段使っている美術室が会場となっているようで、化学の理科実験室とはまた異なった学生時代を思い出しました。
第1体育館
私自身が学生時代にバスケ部に所属していたことと、ちょうどバスケ部の招待試合が開催されていたことから、会場の第1体育館に向かいました。
正直に言って桜蔭は体育会系の部活が活発だというイメージはなかったのですが、招待試合で見事に印象が変わりました。多少のプレッシャーをかけられても物怖じしないプレー、点が決まるごとに湧き上がるベンチや観客(部員数も多い)など、楽しみながら観戦することができました。
西館地下2階
東館を一通り回ったので西館に向かいました。
「文化横丁」と呼ばれ、世間一般的には文化系クラブにカテゴライズされるクラブの展示が西館はメインとなっています。
書道部
硬派な部活だけあって文化祭という喧騒から少し距離をおいた落ち着きがありました。
歴代元号や孔子廟堂碑、蘭亭序の毛筆や、漆塗りの器にへのイラスト(?のようなもの)などの展示など、書道部ならではの作品だけでなくアート寄りな作品も多く見られました。
教室自体も賑わっていたのですが、特におみやげ?への行列がすごかったです。
※後日確認したところ美術部の生徒が百人一首や四字熟語を書いた栞を手渡す列だと分かりました。桜蔭の文化祭は各展示ごとに手作りのおみやげを用意していることが多く、どれも手が込んでいました(私は美術部で版画で作られた栞をいただだきました)。
こちらもおそらく普段使っている教室が会場となっており、書棚には厳かな雰囲気のする書道関連書籍が並べられていました。
西館地下1階
花道部
書道部に続いて花道部の展示でも部員一人一人の生花の作品が並べられていました。
大人の背丈ほどもあるような迫力のある作品や、様々な色を集めた華やかな作品など、普段は街の花屋にたまにお世話になるくらいのレベルの私でも思わず足を止めて眺めてしまいました。
私自身が男子校出身だったせいか、女子校の書道部や花道部の静謐な雰囲気の活動には縁が無く思わぬ刺激がありました。
晃桜会(ちょうおうかい)
桜蔭の卒業生ネットワークを晃桜会(ちょうおうかい)と呼び、文化祭でも同窓会の活動報告や桜蔭グッズの販売をしています。
桜蔭の成り立ちや歴史を簡潔に振り替えれるような展示もあり、受け継がれてきた伝統が今の教育方針にどのように活かされているのか、思いを馳せながら回っていました。
受験生のいるご家庭にとって一番の楽しみは「桜蔭グッズ」販売のようで、晃桜会の方々が企画したオリジナル桜蔭グッズが所狭しと並べられていました。普段の勉強でも使えるような筆記用具もたくさんあり、どのカラーのシャープペンやクリアファイルを買おうか、真剣に悩む女の子の姿が印象的でした。
文化祭限定グッズなるものも用意していたらしく、今後も桜蔭グッズのラインナップは拡充の方向に進んでいくことは間違い無さそうです。
第2体育館
西館は第2体育館の側面を廊下が這うような構造となっており、西館の地下1階と2階から第2体育館の様子を眺めることができます。私が向かったタイミングではバレーボール部の招待試合が開催されており、廊下の窓越しに試合を眺めるオーディエンスが形成されていて賑わっていました。桜蔭性の普段の体育の授業もこのように他クラスの生徒から眺められているのかと思うと少し気恥ずかしい気持ちになります。
水泳部・リズム水泳部
水泳部とリズム水泳部では合同で体力測定企画を実施していました。
学生時代に誰もが体験する体育授業の体育測定を、桜蔭生についてもらいながら実施できるというある意味でとても贅沢な時間を過ごせます。体力がありあまる参加者の女の子たちもとても生き生きと体を動かしていた姿が印象的でした。
文学部かるた班
かるた班では文学部所属の生徒と来場者が実際に競技かるたで勝負をする企画が実施されていました。かるたの知識は「ちはやふる」しか持ち合わせていなかったため実際の競技かるたを目にするのは初めてだったのですが、詠み上げ時の声を出すのもためらうような緊張感と、静寂が一気に破られる鍔迫り合いの様子が、非常にスリリングでした。
西館2階
ボランティア部
募金や手話、点字など様々な形で部員が取り組んでいるボランティア活動の紹介がされていました。活動の必要性や重要性を訴えかける展示だけでなく、部員による実際の手話教室が開かれるなど来場者との双方向な取り組みもありました。
決して派手な展示ではないものの、問題意識を持って活動に従事する姿はとても気高く見えました。
各種休憩所
西館の2階は隣に学校模擬店という飲食販売スペースがあるからか、3つの教室が来場者向けの休憩所として提供されていました。そこでは単純に椅子と机が並べられているだけでなく、桜蔭という学校の魅力や好きな授業といった、生徒たちが普段自分の学校のことをどのように思っているかがまとめられた展示がされていました。
休憩所の人たちは回った展示の感想を言い合ったり、展示を眺めて談笑したり、模擬店で購入した飲食物に舌鼓を打ったりと思い思いの時間を過ごしていました。
休憩所には案内の生徒さんもいたので、場所が分からない展示への行き方を教えてもらうこともできました。
西館3階
西館3階は文化系の5団体の展示が集まっており、他フロアの3団体と合わせて「文化横丁」と呼ばれているそうです。
社会科部
社会で話題になっている事柄について、更に一段階深堀りした分析や考察を展示としていました。大きなテーマとしては来年2020年に東京オリンピックを控えていることからオリンピック採用競技に関する模造紙発表があり、その他にSNSの運用方法に関する是非をディベートを通じて論じる取り組みもありました。
新聞部
普段は桜蔭の校内新聞を発行している新聞部も企画趣旨としては社会科部と通じるものがあり、今年は「国際問題」と「映画」をテーマに深堀りした模造紙発表を行っていました。社会科部と違う点としては他の企画としてクロスワードが実施されていたことで、お子様だけでなく大人も混じって一生懸命問題を解いていました。
ちなみに西館3階は教室から東京ドームや遊園地を臨むことができる素晴らしいロケーションでした。私が仮に桜蔭に通っていたとしたら席替えのタイミングでは間違いなく窓際の席を狙っていると思います。
文学部文芸研究班
西館の地下1階ではかるた班による競技かるたの実演がありましたが、もう一つの文芸研究班ではいかにも文学部といったような展示がされていました。
部員が毎年春と秋に出すオリジナルの文集が十数年分と、一回の文化祭ではとても読みきれないようなボリュームで並べられたり、文学部員おすすめの小説リストや文豪ゆかりの手作り文学散策マップが展示されたりと、シンプルですが非常にボリュームの多い内容となっていました。
手芸部
「手芸部」という名前の通り部員による手作りの作品が展示されているのだろうということは分かるのですが、作品のクオリティの高さやバラエティの豊富さにビックリしてしまいました。
一つ一つの小物がハンドメイドショップに並んでいてもおかしくないほど可愛らしく作られていました。それだけでなく特に服飾ではゴスロリファッションや制服、ウエディングドレスまで並べられていました。作品を仕上げるまでにかけた時間や労力はもちろんですが、世間的にはいわゆる思春期にあたる女学生たちが、どのような意気込みで作品選定をしたのか思いを巡らせずにはいられませんでした。
展示作品は一つ一つ楽しみつつ、ドギマギした思いを抱えながら教室を後にしました。
ここまで様々なクラブ活動や有志活動を紹介してきました。
文化祭はいわゆる「ハレの場」であり桜蔭生の情熱や青春が発揮される機会ですが、一方で桜蔭生が普段どんなことを考えながら学校生活を送っているか気になる方もいらっしゃると思います。
その一端が下記の記事に書かれていますので、もっと桜蔭のことを知りたいという方は合わせてご覧ください。
その他の雑多な感想
以上が私が回った展示の感想となります。限られた時間だったため全ての展示を回り切ることはできず(特に公演系は行けず、、)紹介しきれないものもありましたが、それはまた次回の文化祭を楽しみに待つことにします。
以下、展示の枠に収まらないものの、回りながらふと思ったことを雑多に並べてみました。
- 当日配られたパンフレットには小ネタや内輪ネタが多かったので隅々まで読んでみましょう
- 桜蔭は最寄り駅から校舎にたどり着くまでに忠弥坂(ちゅうやざか)という少し急な坂を登る必要があり、もう少し楽に通学できればと思う生徒がけっこういるらしいです(パンフレット情報)。
- 東館1階には桜陰生による料理が振る舞われる飲食ゾーンがありました。各店舗の壁にお品書きが書かれているのですが、お昼を少し過ぎたあたりではすでに半分ほどのメニューがソールドアウトになっており、人気の高さがうかがえました。麻婆豆腐丼食べてみたかったです(行列がすごかった)。。。
- 受験相談室もありました。校舎内に入る脇に設置されたスペースで、学校の教員と思われる方が受験生家庭の方たちとお話している様子が遠目で見えました。学校説明会はもちろんですが、文化祭では教員や生徒による相談企画が設けられるところも多いので、桜蔭に限らず文化祭はできるだけ多く回ってみるべきだと思います。
- 西館の中庭のようなスペースには中高6学年の出席情報が記載できる黒板が設置されていました。欠席、遅刻、早退などが毎日記録されているのでしょうか。
- 文化祭の至るところで現役生とOGと思われる方たちが談笑している姿を見ることができました。卒業生と現役生でネットワークを構築できるのも中高一貫校の大きな魅力です。
- 飲食店ゾーンの生徒たちが手を洗う瞬間にたまたま出くわしたのですが、しっかり肘の手前まで石鹸を伸ばして丁寧に洗っており、飲食物というある意味でリスクのあるものを提供するスタッフの意識の高さが垣間見えました。
この記事を書いたライター
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