現役折り研高校生が熱く語る、折り紙の世界!





近頃何かとテレビなどで見ることも増えた「リアルな」折り紙の世界。読者の皆さんの中には、そういったものを見てこの記事に辿り着いたという人もいるかもしれません。しかし、この記事を読んでくれている人の多くが、「すごいな~」という感想で終わってしまっているのではないでしょうか。

そんな状況を打破したい!多くの人に折り紙の深い魅力を知ってもらいたい!

今回は現役で筑駒の折り紙研究会に所属しているぼくが、折り紙をマニア目線で熱く語りたいと思います。

はじめに

折り紙に親友や恋人、家族にも近いような愛情を持っている人のことを、ぼくは折人と呼びます。(オリガミストと呼ぶ人もいるみたいですが、折人のほうが味わいがあるような気がします…)
読み方はおりびと、おりじん、おりんちゅなど。
この記事を書いている今のぼくも、まぎれもない折人の一人です(まだまだ端くれではありますが…)。

では、なにゆえにそうなったのか。

折り紙をやっていない人からしたら、おそらくこの答えは謎に包まれて見えるだろうと思います。
「ぼくの折り紙遍歴」ではその具体的な経緯を、「なぜ折り紙だったのか」ではぼくなりに考える折り紙の魅力を語ることで、その謎を解き明かしていきたいと思います。どちらでも好きな方から読んでいってください。

ぼくの折り紙遍歴

小学校時代

↑『サイカブトムシ』創作:ジェイソン・クー
 たしか小6のとき、借りてきた本を見てコピー用紙で折りました

ぼくがなぜ折り紙に興味を示すようになったのかは、実のところ定かではありません。ただ、クラスごとに出し物をする小学校内の祭りで、景品としてかなり折り紙を作っていたのは覚えています。
もしかしたらそのとき「オレ他の人よりちょっとうまいぞ」と思ったのが、折り紙にはまった原因かもしれません。

それからたしか小四くらいになると、Youtubeで折り紙の折り方の動画をよく漁っていました。今の時代、折り紙の本を買わなくても折り方が分かっちゃうから便利ですよね。
ちなみにそのときよく使わせてもらっていたのが、Jo Nakashimaさんという人のチャンネルです。

その結果、親からも「折り紙好き」として見られるようになり、たしかクリスマスに折り紙の本をプレゼントされました。それが『端正な折り紙』という、ぼくら世代にはめちゃめちゃスタンダードな折り紙の入門書です。この本は今でもたまに眺めたりしています。
それから、川村みゆきさんの『多面体の折り紙』という本もたまに使っていました。この本は、弟の友達の家から譲り受けました。何枚ものパーツを組み合わせて立体図形を作る「ユニット折り紙」という少し特殊な折り紙についての本です。

中一

↑ 『ガブリエル』創作:北条高史
 紐は、家に飾るときに吊るせるように付けたものです

筑駒中に入学すると、折り紙研究会(以下、折り研)をふくめて三つの部・同好会に入りました。

ちなみにそのときの折り研はなぜか勧誘に消極的で、入るためにはわざわざ中三の教室に出向いてメールアドレスを交換しに行かなければなりませんでした。
しかも、折り研の先輩がなかなか見つからず4回くらい待たされたり、上級生に「得体のしれない同好会の新入生」を見る目でじろじろ見られたり。我ながら度胸と根性がありましたね。
そんなこともあり、結局中一で入ったのはぼく一人だけ。(でもそれからは毎年ほぼ一人ずつ増えつづけ、今では6人になりました。 )

それから、何となく折り紙としっかり向き合いたいと思い、白山にある有名な折り紙ギャラリー、おりがみはうすを夏ごろに訪問します。そこで展示を見て回ったあと、せっかくだから何か本を買っていこうということで、ギャラリー内の書籍の棚を物色し始めました。そこでぼくは、ある本を見つけました。
その本はある折り紙作家さんの作品の写真集で、作品を折る基本になる「折り図」というものがほぼありませんでした。つまりその本を買ったって作品を折れないということです。しかし、ぼくはその本を購入することに決めました。
その本こそが、ぼくの折り紙観を根本から変えてしまった、『エリック・ジョワゼル ―折り紙の魔術師―』という本でした。(リンクはこちら
この本がどのような折り紙観を提示していたのかは、次の章で説明します。

ちなみにこの年は他の部活などとの両立に慣れていなかったこともあり、折り紙はあまりできませんでした。11月の文化祭で展示できたのも2作品くらい。
ただ、文化祭前に高2の先輩の指導を受けて、途中から入ったもう一人の一年生と「ガブリエル」という作品を折ったのはけっこういい思い出です(上の写真)。この先輩がネットニュースやらテレビやらにも出ちゃうような凄い先輩だったのですが、考えてみれば他の人にちゃんと折り紙を教わったのは、人生でもこのときくらいかもしれません。

中二

↑ 『タランチュラ』創作: 今井幸太
 『折紙探偵団マガジン』を参考に展開図折りしました。

中二のとき、ぼくは『折紙探偵団マガジン』という折り紙の機関誌を購読するようになります。今でも購読を続けているのですが、最新の折り紙情報が網羅されていてけっこう楽しめます。

また、展開図折りという技法がそれなりに使えるようになった結果、ネットで気になった作品をある程度自由に折れるようになりました。

それから中一のときの反省もあって、夏休みを中心にかなり計画的に作品を作りました。文化祭にも5作品くらいは出せて、その中でも油紙で折ったタランチュラがわりと褒められます。たぶん紙のチョイスが偶然よかっただけなのですが、自分の折り紙を知らない人に認めてもらえたのは初めてだったのでとても嬉しかったです。

中三

↑ 『Chelone(ウミガメ)』創作:Melina Hermsen
 夏休みは、テレビを見ながらこの作品の折り筋をずっとつけていました

この年の文化祭は、小さな物を含めて8作品くらい出せて、テッセレーションという技法を用いたウミガメがまたそこそこ褒められます。手間だけはものすごくかかるけれどそこまで難しい作品ではないのですが、他の人があまり使わない技法だったのがよかったのかもしれません。

そして三年目の二月、つまり今年なんですが、中高生折り紙連盟という団体の展示に作品を出すことにしました。テーマは海の生物。ちなみにそのときまでぼくは、他人の考えた作品ばかり折っていました。折り紙界では自分で0から作品を考えることを「創作」というのですが、つまりぼくは創作ができなかったわけです。
そのときまで創作には何度も挑戦していたのですが、どれもうまくいきませんでした。しかし、このときどういうわけか、水族館で見て以来ずっと折りたいと思っていたアオリイカを、自分で創作することができたんです。(展示自体はコロナウイルスの影響で中止になってしまったんですけれどね。)
それ以来、ときどき創作のアイデアが湧いてくるようになり、近頃折っている作品は半分以上創作になっています。

なぜ折り紙だったのか

リアリティへの驚き

複雑でリアルな作品が、たった一枚の紙からはさみを使わずに折られたという驚き。そして、自分も同じようなものが作れたときの喜び。おそらく、折り紙を志す人の出発点は、ほとんどここだと思います。
つまり、章のタイトルへの答えの一つは、「書いてあるとおりに折ればだれでもいいものが作れるから」。もちろん、レベルの高いものだとある程度の忍耐力・集中力・経験が必要になってきますが、そういった力を身に付けて着実にレベルアップしていけるのも魅力です。
たとえば下の作品を見てください。

この作品はものすごく有名なものです。が、二年くらい折り紙をやっていれば、たぶんわりと簡単に折れるレベルでもあります。こういうものを簡単に自分で作れるようになったら、絶対に楽しいと思いませんか? これが、折り紙の大きな魅力の一つです。

しかし、1章でふれたエリック・ジョワゼルさんの写真集を通して、ぼくはそれとはまた違った折り紙の魅力に気づいたのです。それは、美しさです。

「芸術」としての折り紙

その本を開いてぼくがまず感じたのが、「ぼくが見てきた折り紙とちがう」ということでした。どの作品も、まるで生命を持っているような美しさだったんです。たとえば、下の写真はエリック・ジョワゼルさんの創作作品の一つです。

どうですか?まるで生きているように感じませんか?でも実はこれ、伝承の折り鶴とまったく同じ構造に少し手が加えられただけのものなんです。(ほんとうに魔法みたいですよね!)
こういった感じ方を可能にしているものの一つが、曲線・曲面的な表現です。本来紙の折り筋は直線ですし、紙を折りたたんだら平面になります。しかしそこに手を加えることで、曲線や曲面が生まれ、有機的な表現ができるようになります。

また、使われる紙も重要な要素です。これはどんなタイプの折り紙にも言えることで、自分の折り紙に合った紙を作るために紙漉きになっちゃう人もいるくらいです。
ぼくもちゃんとした作品を作るときは必ず青山の紙屋さんに行って、30分くらいかけてじっくり紙を選ぶようにしています。もともとは「折り紙は折れればいい」というスタンスで、新聞紙なんかを使うのも厭わなかったんですけどね(親からは「飾れる紙で作ってよ」としょっちゅう言われていました)。

他にも様々な要因が絡んで作品の「美しさ」をつくっているわけですが、いずれにせよ言えることは、その美しさは折り紙でしか表現できないものだということです。
そして、「折紙だけの美しさ」を十分に発揮するにはどのような作品を作ればいいのかを、折人たちは常に考えつづけているのです。

折り紙をはじめよう!

ここまで、読者の皆さんに折り紙の魅力が少しでも伝わるように書いてきましたが、結局のところその世界の本当の魅力なんて、実際にその世界に入ってみないとわかりません
ですので少しでも折り紙の世界に興味を持った方は、ぜひこの機会に折り紙を始めてみてください。

ではどうやって始めればいいのかということですが、まずは書籍を買ってみるのがおすすめです。そしてその本に載っている作品を片っ端から折っていきましょう。何事も一番大事なのは経験ですからね。(ちなみにこちらのサイトがおすすめです
途中でどうしても折れないものが出てくるかもしれませんが、そこは粘ってトライ&エラーです。ネットでコツを調べるのもいいかもしれません。

他にも、折り紙作家さんのホームページを探したり、SNSなどで作品を探したりするのもいいと思います。今はたくさんのコンテンツが簡単に手に入る時代ですから、ぜひ色々なものを最大限活用して折り紙に取り組んでいってください。
皆さんがこの記事をきっかけに折り紙に興味を持ち、いつかぼくたちの仲間になってくれるなら、それほど嬉しいことはありません。

参考記事

下の記事では、折り紙に関する部活・同好会がある主な学校をまとめています。文化祭に行くときや、進路を決めるときなどにお役立てください。
https:/tokyojyuken.jp/origami-activity/

この記事を書いたライター

もちけん
もちけん
国立筑波大学附属駒場(筑駒)高校一年
サッカー部、生物部、折り紙研究会
部活でやっているもののほかに、読書、映画鑑賞、デザインなんかも好きで、じつは多趣味な方なのかもしれません。